こんな質問におこたえします!
イギリス英語もアメリカ英語も同じ英語ですが、単語や発音、スペルの違いなど結構あっておもしろいんです!
私は日本でアメリカ英語ベースの英語教育を受けて(ほとんどの方が同じですよね)、イギリスに住み始めてからイギリス英語の表現や発音を学んでいます。
というわけで今回は、
- イギリス英語 アメリカ英語の違いの例
- イギリス英語とアメリカ英語の割合
- イギリス英語とアメリカ英語に違いがあるのはなぜ?
- イギリス英語とアメリカ英語の単語・発音・文法の違い
- イギリス英語とアメリカ英語はどっちが簡単?
など、実際にアメリカ英語とイギリス英語の両方にどっぷり使った私の経験も踏まえながら、違いの面白い点をわかりやすく紹介します!
イギリス英語とアメリカ英語の違いの例
イギリス英語(British English)とアメリカ英語(American English)は、同じ英語でありながら、語彙、スペル、発音、文法、日付や時間の表記方法などに多くの違いがあります。
例えば...
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 | 違いポイント |
autumn | fall | 秋 | 単語 |
lift | elevator | エレベーター | 単語 |
colour | color | 色 | スペル |
organise | organize | 組織する | スペル |
/kɑːr/ | /kɑːr/ | car | 発音 |
/ˈwɔː.tər/ | /ˈwɑː.t̬ɚ/ | water | 発音 |
learnt | learned | 過去形 | 文法 |
The team are playing. | The team is playing. | 集合名詞 | 文法 |
31/12/2024(DD/MM/YYYY) | 12/31/2024(MM/DD/YYYY) | 日付の表記 | 日常生活(文化) |
ground floor(1階) | first floor(1階) | 1階の表現 | 日常生活(文化) |
Underground/Tube | Subway | 地下鉄 | 日常生活(文化) |
一般的なイメージとして、イギリス英語は
- 上品で知的:フォーマルでエレガントな印象が強い
- 紳士的で洗練:イギリスの伝統や礼儀正しさを感じる
一方、アメリカ英語は
- カジュアルで親しみやすい:日常会話やエンタメでよく耳にする
- ダイナミックで直感的:シンプルでわかりやすい表現が多い
という印象があります。
アメリカ英語とイギリス英語の割合は?どっちが多い?
アメリカ英語とイギリス英語を話す人の正確な統計を得るのは難しいのですが、大まかな背景や推定値を踏まえて紹介します。
英語使用の割合
まずは母語話者(ネイティブスピーカー)レベルでみると、アメリカ英語の母語話者が世界的に多数派といえます。
ネイティブスピーカーで比較すると、アメリカ英語が60-70%、イギリス英語(30-40%)程度と推定できます。
1. アメリカ英語
アメリカ英語はアメリカ、カナダ(カナダ英語はアメリカ英語に近い)、フィリピン(第二言語として広く使用)、カリブ諸国など、多くの国や地域で使用されています。
約3億5,000万人以上が第一言語としてアメリカ英語を話し、それに加えて第二言語としてアメリカ英語を学ぶ人が非常に多いです(特に南米やアジア地域)。
2.イギリス英語
イギリス英語はイギリスをはじめ、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、インド、パキスタン、ナイジェリアなど、旧イギリス連邦の国々で使用されています。
イギリス英語を話す人は約7,000万人(第一言語として)ですが、旧イギリス植民地の多くの国々で第二言語として広く使用されています。
英語学習者の傾向
世界的な使用の割合を見ると、アメリカ英語の方が使用者が多いといえるでしょう。というのも、アメリカは経済的にも文化的にも、大きな影響を与えているからです。
ただし、イギリス英語はヨーロッパやアフリカの多くの国で教育言語として根付いています。学校の教科書や教材にイギリス英語が採用され、伝統的な発音や表記が維持されています。
国際機関の文書もイギリス英語が使用されるのだそう。そもそも英語はイギリス発祥の言語なので、伝統や品格を重視する場合は好まれるのだと思います。
日本ではアメリカ英語が主流なのはなぜ?
日本では学校教育などアメリカ英語が使われるのが主流です。
その理由はいくつか考えられますが、私が個人的な体感として思うのは主に次の2つ。
- アメリカの影響力が大きい
- 学習リソースの多さ
第二次世界大戦後、アメリカの教育や文化的に影響を強く受け、学校教育でもアメリカ英語が標準的に使われるようになりました。
また、ハリウッド映画や人気ドラマ、アメリカの音楽が日本に多く入ってきたので、自然とアメリカ英語に触れる機会も増えました。
さらに、日本で販売されている英語教材やアプリのほとんどがアメリカ英語がベースだということ。アメリカ英語で学習すれば、私たちがアメリカ英語の方が身近に感じられるのは自然ですよね。
また、TOEICなどの資格試験もメインのアクセントはアメリカ英語です。(IELTSやケンブリッジ英検はイギリス英語)
イギリス英語とアメリカ英語に違いがあるのはなぜ?
イギリス英語とアメリカ英語が異なるのは、歴史的な背景と文化的な背景が関係しています。
歴史的な背景の違い
1600年代にイギリス人がアメリカに移住した当初は、 アメリカでもイギリス英語がそのまま使われていました。しかし1776年の独立をきっかけに、言葉の進化も異なる方向へ進み、アメリカ英語が生まれたようです。
また、アメリカは移民が多く他の言語の影響も受けやすいことも特徴。例えば、クッキーはアメリカ英語で「cookie(クッキー)」、これはもともとオランダ語の「koekje(クッキー)」が由来です。
一方、イギリスはフランス語からの影響が強く、クッキーは「biscuit(ビスケット)」という表現が使われます。
文化的背景の違い
アメリカとイギリスの価値観の違いもあります。
アメリカは「シンプルでわかりやすい」を重視し、1800年代Noah Websterという言語学者がスペルを簡略化するルールをつくりました。
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 |
colour | color | 色 |
organise | organize | 組織する |
theatre | theater | 劇場 |
travelling | traveling | 旅行 |
イギリス英語とアメリカ英語の単語の違い
英語と一口に言っても、同じ物でも国によって全く別の単語が使われます。
例えば「秋」。
- イギリス英語:autumn
- アメリカ英語:fall
その他よくある違いをまとめると...
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 |
underground, tube | subway | 地下鉄 |
way out | exit | 出口 |
ground floor 【エレベーターやサインなどは「G」もしくは「0(ゼロ)」と書いてあることが多い】 | first floor | 1階 |
loo, toilet, lavatory | restroom, ladies's/ men's room, bathroom | トイレ |
rubbish bin | garbage can, trash can | ゴミ箱 |
postal code | zip code | 郵便番号 |
reception | front desk | ホテルのフロント |
trolley | cart | ショッピングカート |
take away | take out | 持ちかえり |
trainers | sneakers | スニーカー |
trousers | pants | パンツ、ズボン |
jumper | sweater | セーター |
bonnet | hood | ボンネット |
boot | trunk | トランク |
イギリス英語とアメリカ英語の単語の違いがおもしろくて、さらにテーマ別にまとめてみました。
イギリス英語とアメリカ英語のファッション関連単語、交通機関単語、公共施設単語、車関連単語、空港・飛行機関連単語、など興味のあるものからチェックしてみてください。
イギリス英語とアメリカ英語の発音の違い
わかりやすいイギリス英語とアメリカ英語の発音の違いを紹介します。
ナレーション 音読さん
water
アメリカ英語: /ˈwɑːtər/
イギリス英語: /ˈwɔːtə/
アメリカでは「t」の音が「r」に近い柔らかい音(フラップ音)になります。イギリスでは「t」ははっきり「t」の音になります。
bath
アメリカ英語: /bæθ/
イギリス英語: /bɑːθ/
アメリカでは「a」は短い「æ」の音(キャットのaと同じ)。イギリスでは「a」は長い「ɑː」の音(アーのような音)になります。
schedule
アメリカ英語: /ˈskɛdʒuːl/
イギリス英語: /ˈʃɛdjuːl/
アメリカでは「sk」の音が使われ、「ス」と発音します。イギリスでは「sh」の音になり、「シ」と発音されます。
tomato
アメリカ英語: /təˈmeɪtoʊ/
イギリス英語: /təˈmɑːtəʊ/
アメリカでは「a」は「ei」(エイ)と発音されます。イギリスでは「a」が「ɑː」(アー)のように発音されます。
advertisement
アメリカ英語: /ˈædvərˌtaɪzmənt/
イギリス英語: /ədˈvɜːtɪsmənt/
アメリカでは「advertisement」の「tise」が「taiz」と発音されます。イギリスでは「tise」が「tiz」のように発音され、アクセントが2つ目の音節(ver)にきます。
イギリス英語とアメリカ英語の文法の違い
文法的な違いもいくつかあります。
特に、
- 時制の使い方
- 前置詞の使い方
- 集合名詞の扱い
などでその違いがよく見られます。
時制の違い
例えば、過去形 vs. 現在完了形の使い方。
イギリス英語では、経験や過去の出来事が現在に関連する場合、現在完了形 (have + 過去分詞) を使うのが一般的。
I have just eaten lunch. |
今ちょうどランチを食べたところです |
一方、アメリカ英語では、同じ状況でも過去形 (did) を使うことが多いです。
I just ate lunch. |
さっきランチを食べたよ |
前置詞の違い
イギリス英語では、at, in, onなどの前置詞の違いが、アメリカ英語と微妙に異なる場合があります。
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 |
at the weekend | on the weekend | 週末に |
at the front, at the back | in the front, in the back | 前に / 後ろに |
different from/to | different from/than | 〜と異なる |
集合名詞の扱いの違い
イギリス英語では、集合名詞 (family, team, staff, government など) が単数扱いにも複数扱いにもなります。意味によって変わります。
アメリカ英語では、常に単数扱いをするのが基本です。
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 |
My family are happy. | My family is happy. | 家族は幸せです |
家族それぞれのメンバーが幸せ | 家族は一つのまとまりとして見ている |
イギリス英語とアメリカ英語はどっちが簡単?
アメリカ英語の方が簡単というよりも、日本ではアメリカ英語の方が「学びやすい環境が多い」と言うほうが正しいかなと思います。
というのも、日本の学校教育や英会話スクール、多くの英語教材はアメリカ英語を基本としているから。
また、日本で手に入る教科書、参考書、オンライン教材もほとんどはアメリカ英語です。つまり、単語やスペル、発音など私たちがすでに見慣れた、聞き慣れたものはアメリカ英語なので、その延長線上で英語が学べます。
また、映画やドラマ、アニメの英語吹き替えなども、アメリカ英語でつくられているものが多いので、何度も耳にするうちに音やリズムに慣れやすくなりますよね。
日本人はどっちを学ぶべき?どっちを先に学ぶべき?
これは私の個人的な意見です。
英語のやり直しをしている初級レベル(中学卒業レベル)の方であれば、アメリカ英語で学ぶのをおすすめします。
理由は、英語教材の量が圧倒的に多いから。つまりあなたと相性のよい教材を選べるからです。
私の体感とイギリス人友人の話ですが、イギリス人はドラマや映画の影響でアメリカ英語にも慣れているのでアメリカ英語が聞き取れない・わからないということはほとんどないです。
ただし、イギリスが好き!イギリス留学・移住予定がある、クライアント・上司・同僚がイギリス英語系、イギリスでどうしてもやりたいことがある!など、イギリスにこだわりたい方は、イギリス英語で学ぶと良いでしょう。
中学校三年の見直しをするなら、基礎文法の参考書はアメリカ英語オーディオに、まずはおまかせする。発音やフレーズなどはイギリス英語専用の参考書を使いましょう。
中学3年英語文法が入っているなら、英文法参考書「Grammar in Use」の初級版(イギリス英語版)から始めてみるとどっぷりイギリス英語に浸れます。
イギリス英語とアメリカ英語の違いが面白い!のまとめ
今回は、イギリス英語とアメリカ英語の違いについて、幅広く紹介しました。
- 世界的にみるとアメリカ英語話者の方が多い
- イギリス人がアメリカに移住し、アメリカ独立をきっかけにアメリカ英語が生まれた
- シンプルでわかりやすいを好むアメリカが、スペルや発音なども変化させた
- アメリカの経済的・文化的な動きも英語学習者の多さに影響している
- 日本で販売されている英語教材の多くはアメリカ英語がベースなので、日本人にとってはアメリカ英語の方が学びやすい
英語の違いがわかると、いろんな映画や動画もより直感的に楽しめるようになりますよ!