
先日、友人からこんな質問をもらいました。
「Dictation(ディクテーション)」とは、簡単に言うと「聞こえてきた文の書き取り」のことです。 フランス語では「Dictée(ディクテ)」と言います。
「外国語の書き取り」。なんとなく想像はできても、学校の授業でやったことはないし、正しいやり方などはいまいち分からないですよね。
というわけで今回は、「Dictation(ディクテーション)とは?」についてお話しします。
ちなみに、私が初めてこの学習法を体験したのは、フランス語の語学学校でした。初めは、なんじゃこりゃーって思いましたが、結構好きでした。
一方、外国人の友人たち(特にアルファベット圏)は、ほぼ全員、毎回拒否反応を示していました。話すより地味な作業だからかなぁ。笑


「気になっていたけどはじめ方が分からなかった」「新しい学習法に挑戦したい」という方へ、ディクテーションへの第一歩として参考にしてみてください。
ずばり、ディクテーション・ディクテとは?

「口述筆記」のこと、つまり「書き取り」のことです。
対象の言語の文を聞き、意味をくみとりながら、同時に一字一句正しく書きとっていく、外国語学習方法のひとつです。
ディクテーションで伸ばせる力、期待できる効果は?

ディクテーションで伸ばすことが期待できるのは、例えばこのようなことが挙げられます。
- リスニング力が伸びる
- 文法や単語の正確さを意識する感覚を養う
- 自分の苦手なところ、得意なところを知ることができる
- 単語力アップ
その① リスニング力が伸びる
ディクテーションでいちばん期待される効果は、リスニング力のアップです。
ディクテーションは、とにかく、集中して聞きます。たとえそう長くない文だとしても、単語や文に集中して聞き取る作業です。
じっくりと集中して聞く、リピートされる中で正しい答えに気がつく、意味を考えながら書き取る、答え合わせで間違いを確認をする、を繰り返します。
ディクテーションは地道な作業ですが、「音」と「文字」そして「意味」を正しくリンクさせることで、ひとつひとつの単語や文を落としこむことができます。
それが、意味理解も含めたリスニング力向上につながると思います。
その② 文法や単語の正確さを意識する感覚を養う
私の経験上、ディクテーションといえばこちらの効果も強く感じています。
「集中して聞いて書き取った!よし、確認もOK!」そう思っていても、答え合わせをすると愕然とすることがあります。結構いろいろと落としているんです。
英語であれば、例えば
- 三単現の「s」
- 「l」と「r」「b」と「v」などの聞き取り間違い
- スペルミス
- 音の変化 (単語がつながって別の音を生む)
- 発音のときにおちてしまう前置詞や冠詞
- 大文字小文字
フランス語であれば、
- 書くけど読まない「s」
- 女性名詞につく形容詞の「e」
- 過去形で女性名詞を目的語にとる時に過去分詞につける「e」
- 同じ発音でもスペルがちがう「il」「ils」「Tu as」「Il a」
などなど。
口頭だとさほど気にしなくていいところが、ライティングになるとすべてNGになるんです。
知識としては十分に理解しているはずの文法も、書いてみると意外となにか不足していたりします。
なのでディクテーションは、"その理解しているはず"の単語や文法を書き取って、自分の間違いから、正しい単語や文法を改めて意識し身につけていく、という作業だと思っています。
文の意味をイメージしながら書きとることで、構文、文法、単語力なども総合的にのばすことにつながります。
現在は、SNS投稿やビジネスメールでも外国語を「書く」スキルは必須となりました。スペルや文法の補助機能等もありますが、まずは自分で判断できる力をディクテーションで鍛えていくのがおすすめです。
その③ 自分の苦手なところ、得意なところを知ることができる
自分の書き取り解答をチェックすると、例えばいつもミスをしてしまうところなどが浮き彫りになります。
たとえば、音の変化(音のつながり、冠詞や前置詞が聞こえる聞こえない)などがディクテーションでよく間違われるところです。
自分の弱点を知ることで、そこを補う学習をすればいいので、効果的に語学力アップを狙えるとおもいます。
逆に、自分の得意なところも分かります。

ディクテーションでは、自分の文法的な弱点と、逆にきちんとアウトプットできているところも認識できます。
この作業を丁寧に積み重ねていくことで、次回以降のディクテーションで、自分の書き取る文を客観的にチェックする力ついていきます。
その④ 単語力アップ
ディクテーション中に新しい単語がでてくることもあります。単語力アップのチャンスです。
初めて聞く単語なのでスペルもわかりません。ただ、ふだんディクテーションで意識している発音とスペルの知識をフルに活用して、それがどんな単語なのかを書いてみることができます。
あわせて、文の内容からどのような意味の単語なのかを念頭においておきます。
そうすると答え合わせのときに、その新しい単語がしっかりと頭のなかにはいってきます。
単語の音、スペル、意味をリンクさせることで単語力アップにつながります。
聞き取れないものを書く必要はあるの?

前置詞や冠詞など、実際のネイティブの会話では落とされている発音も多くあります。実際に自分が話すときも、慣れれば慣れるほど、音を変化させたり発音しなくなると思います。
それをひろって書き取っていくのがディクテーションです。
じゃあ実際に話さなくなるのに、改めてディクテーションで学習する必要があるのかと言うと、私はあると思っています。
例えば、レポートやビジネスシーンのコミニュケーションにおいて、書くという技能は必須です。メールや会議の議事録作成などありますよね。
会議中の自分用のメモであれば、自分が分かればいいのです。多少スペルがおかしくても内容が理解できていれば問題ありません。
ただ、すぐに同僚や上司にシェアする必要があるレポートなどはどうでしょう。正しい書き取りに慣れておかねばミスが多発し、会議の内容が正しく伝わらないかもしれません。
通常のメールでも、スペルや文法のミスが多発していると読みやすいメールではなく、いい印象を与えている、とは決して言えないですよね。
ネイティブのメールにもミスはみられますので神経質になる必要はありませんが、伝えることそのものを邪魔してしまうのはもったいので、ディクテーションで正しく書きとる練習を取りいれるといいと思います。
まとめ
今回は、ディクテーションとはなにか?ということについてお話ししました。
ディクテーションとはいわゆる「書き取り」のことで、ディクテーションの効果は次の4つでしたね。
- リスニング力が伸びる
- 文法や単語の正確さを意識する感覚を養う
- 自分の苦手なところ、得意なところを知ることができる
- 単語力アップ
日本では馴染みの薄い学習法ですが、こつこつやることでリスニング力アップの効果が得られるはずです。
「継続は力なり」おすすめのアプリ・サイトなどの教材をまとめましたので、自分にあうものを見つけてみてください。